脚本を書く時には必ず構成を手元に

高校生の時、わたしは山岳部にいました。そして集団行動が嫌いなわたしは、よく一人きりで山に行きました。当時尊敬していたのは植村直己さんです。
一人で山に行く時、大切なのは現在地を見失わないこと。当たり前ですね。迷っても誰も慰めてくれません。だいたい慰められても山ではどうしようもないんですが。
だから地図って大切です。だから地図はいつでも出せる場所に入れておく、これは山登りの鉄則です。

さて、これまで「脚本の書き方」で何度も書いたように、構成はとても大事です。もちろん行き当たりばったりで書くのを否定しません。わたしもはじめは行き当たりばったりで書いていました。だいたい何をどう組み合わせたら「物語」になるのかさっぱりわかりませんから。
でも何度か書いてきた人にはぜひ、構成を組み立てた上で書いて欲しいです。構成は地図のようなもので、今現在自分がどこのシーンを書いているのか、そのシーンは次のシーンへ何をバトンタッチすればよいのかがわかるからです。
なので、構成を紙に書いた上で、脚本を書いている時には必ず手元に置いておくなどする方が安心してすすめられます。構成が表示できるテキストエディターなどもよいでしょう。わたしの場合、windowsを使っていた頃はWZeditorを愛用していました。別ウィンドウで構成が表示できるんです。これに匹敵するMacのエディターがないのが残念。まあ、紙に書いて張っておけばよいのですが。

もちろん、脚本に限らずどんなものをつくるのであれ、勢いはある程度大切です。つくっているうちに、あるいは書いているうちにはじめの構想ではなく、別のすばらしいアイデアを思いついて、そちらに方向転換することもあるでしょう。それはそれでいいんです。そしてその後もう一度構成を修正すればいいんです。
構成は「守るべき法律」ではなくて、あくまで自分のイメージの地図です。イメージが変われば地図も変えていいんです。でも森の中で方向を見失わないようにするためのツールは必要なので、構成はいつも観られる場所に置いておくのがよいでしょう。