何を書くべきか

今回は、「脚本を書く動機」についてです。
よく映画や小説、演劇を見たり読んだりした後で「この作品のテーマは…」と論じたりする人がいます。それは見た人の自由なので、何を言ってもかまわないのですが、つくる側としてはテーマそれ自体を最初に設定する必要はありません。むしろ設定しない方がよく書けるといえるでしょう。
テーマがあるとそれに束縛されます。むしろあなたの書きたいものは脚本を作る過程でも変化していくことでしょう。はじめに「書こう」と思ったことは、脚本の仕上げの段階で振り返ってみると、かなり陳腐な印象を持つことが多寡あります。またテーマはこちらが気張って設定したところで、演出家の解釈によってそれが変わる上、観客の受け取り方によっても変わります。
つまり、テーマは設定する必要がない、といえます。
では何を動機にして書けばよいのでしょうか。

1つには、あなたが「こんなシーンを見たい」「こんなセリフの応酬を実現させたい」「こんな人物に、こんな結末を用意したい」という、あくまで脚本上で実現したいイメージそのものです。
例えば「アポロ11号の月面着陸で設置されたアメリカ国旗の代わりに、別の旗をつけたい」「手紙が迷子になって世界中を旅して、それでも宛先に届くような話をつくりたい」「夕焼けの向こう側はどんな世界があるのか見せたい」などのイメージを組み合わせてつくったのがこれです。
はじめはおよそ3つのイメージがあれば、それら組み合わせてある程度話が見えてくると思います。それらは、一見なんの関係がなくてもかまいません。さらにイメージを(つまりアイデアを)出し、おぼろげな話に加えていくと、徐々に実現したい物語が見えてくるはずです。イメージの順は当初考えていたものよりも、大胆に前後を入れ替えてみると新しいものが見えてきたりします。またはじめに「これがラストシーンだ」と思っていたものも、思い切って中程に持ってきて、それを超えるイメージをつくってみるよう努力してみましょう。イメージ(ほぼここではアイデアとイコールです)の大胆さ、オリジナリティこそがあなたの脚本を左右するので、この段階での力と時間の投入はとても重要です。初めて脚本を書く人は特にここが大切。慣れてくれば、イメージ(アイデア)を出すことが比較的無理なくできるようになってきます。(理由はよくわかりませんが、脳の中の神経は必要に応じて長さや互いの関係を変えるらしいので、その辺が関係するのかもしれません。)

大切なのは、アイデアをもったいぶらないこと。「これで十分」というアイデアはまだ不十分であることが往々にしてあります。それは次の新しいアイデアが浮かんだ時に痛感できるはずです。その意味で最初に「テーマは最初に設定しても後に陳腐に感じられる」と書いたことがおわかりいただけると思います。すなわち、テーマ設定そのものが意味のないことなのです。
脚本を作るために必要なのは、あくまでもあなたが舞台の上で(いや、前回書いたように現実の上で)実現したいイメージ。あなたがそのイメージに対してどこまで「実現したい」と熱意が持てるかで、脚本の重みというか、完成度は大きく変わります。

ではイメージの組み合わせを、読み手にどう伝えればよいのでしょう。次回は「脚本はアート?エンターテイメント?」です。

何を書くべきか」への2件のフィードバック

  1. Ambien.

    Ambien cr and alcohol. Ambien ld-50. Ambien. Ambien cr color. Where can i buy ambien for next day delivery. Generic ambien. Ambien overnight. Buy ambien online. Ambien next day delivery canada.

コメントは停止中です。