いびき暴発

札幌の地下鉄には不思議な人々がたくさんいます。そんな偉人達の列伝を少し。
今日見かけたのはとても太った方。
ただの太い人ではありません。文字通り2人分、イヤ2.5人分のスペースを占めて座っていました。朝のラッシュ時ですから、その専有面積は大変価値があります。
で、その方、寝ていました。朝ですから、致し方ありません。そんな人、同じ車両にもたくさんいます。
「んごご…」。いびきをかき始めました。

「んごご…んごご」。これがですね、体の中で共鳴するのか、よく響くんです。
「んごご…んごご、ごご、んごご」。だんだんボリュームも大の方へひねっているようで、同じ車両の人みんなで注目です。
あまりに大きくなって、とうとう音楽を聴いていた高校生がヘッドホンを外して
「うっせえ」と言ってみましたが、起きません。
そのうち何だか、いびきとともに体が一回り、もう人いびきとともにまた体が二回り大きくなって…。
車両いっぱいに風船のように膨らんでしまいました。
乗客は皆壁に押しつけられ、顔が歪んでいるおばさんや、メガネが外れそうになっているおじさんも。
でもいびきの音だけが「んごご」と響きます。
僕もあわや圧死、というところで、風船がOLさんのピアスに当たりました。
「バン!」
…それでも彼は目を覚ましませんでした。
僕は大通で降りましたが、あの人はどこまで眠っていたのでしょうか。