引き算の仕方を教えてほしい

NHKの「植物に学ぶ生存戦略」、面白いですね。チープな教習ビデオっぽいつくりで、おかしな間があって、笑いがあって、植物それぞれの面白さがわかるっていうのは本当にすごいです。30日放送の回にはなんとジュディオングさんも登場してました。昨日書いたように、僕は「見逃し配信サービス」で見ましたが。

話は変わりますが、僕は数学と物理が苦手でした。特に数学ですね。微分と積分。おとなになった今でもその意味を知りたくて、わかりやすく解説した本を買ったりしていますが、未だによくわかりません。理屈ではなく、腑に落ちる感じを求めてさまよっています。

いや、微分積分の前に割り算が苦手です。そもそも、割り算のもとは引き算だと習ったことがあります。

引き算…それが問題なのです。

絵やデザインの世界ではよく「引き算の美学」なんていう言い方がよくあります。要素を付け足していくのではなく、必要最小限まで減らしていく考え方です。枯山水の庭園なんて、その典型ですね。パソコンで言えばアップルのデザインはまさにそうだと言われています。

水彩絵の具で絵を描くのを仕事とする自分からしたら、そこがとても難しいのです。水彩絵の具は一旦描いたら修正ができません。消すこともできません。なので、どこでやめるかが本当に問題なのです。

例えばこれをご覧頂きましょう。↓

樹木だけの状態。シンプルでいいですね。でもちょっとさみしい。当初の予定は「春の森」。なので、樹木に春の花と、新葉を加えます。↓
いいですね。ここでやめることもできましたが、このままではやはり寂しいので、当初の予定通り春の野草も描いていきました。↓
色が増えました。そのぶんにぎやかになったのはいいのですが、様子が増えて視点が定まらなくなりました。また木の存在感が減りました。

引き算の美学というのは、最初にたくさんある中から減らす手段があるときにはよいですね。水彩絵の具は増やしながらどこでやめられるか、が問題です。絵はえてして描いている本人の主観で判断しがちですが、大事なのはそれを初めて見る人がどう感じるかです。本人の主観だとついつい要素の数をミニマムにしてしまいがちですが、それでは見ている人とのコミュニケーションの要素が減ってしまいます。その塩梅がいつも難しいところです。

とはいえ、考えるべきことは足し算と引き算だけです。絵に微分とか積分がなくて、本当に良かったと思います。

ではまた明日(たぶん)