絵を描いていたら、壁を叩く音がするんですよ。
コツコツコツ、コツコツ。
家の外側から、とがった何かでつつくような音。
実は今に始まったことではありません。時には夏にこんな音がすることもありますし、今の時期、つまり冬でもよくあります。
ちょっと怖いです。
おそるおそる、僕は棒を持って、部屋の中から壁を叩いてみます。外から叩く音に対応するように、とんとん、とんとんと。
でも外側から叩く音は鳴り止みません。コツコツコツ。コツコツ。
僕は意を決して、玄関から外に出てみます。そして音がしていたあたりの壁をそっと、覗いてみました。
ヤマゲラか!
頭と翼が抹茶色のキツツキです。こいつが家の壁をくちばしでコツコツと叩いていたのです。
音の正体はこれか…と思ったら、実はそれだけではありませんでした。その脇からなんと、アカゲラ(これがキツツキの中で一番多い)が2羽現れて、やはり家の壁をくちばしで叩いていました。
合計3羽! しかもでかい。
あのね、そんなところを叩いてもあなた達がほしい虫はいません。その中は部屋という名の空洞で、その中には僕という人間がいるだけです。
ハッ。
つまりやつらは俺を餌だと思って、つついていたのか。
僕は虫ではございません。
ではまた明日(たぶん)