今更ですが、アントニオ猪木さんについて

先日プロレスラーのアントニオ猪木さんがお亡くなりになりました。僕は高校生の時に少しテレビを見ていただけで、プロレスファンでもなんでもありませんが、それでも思うところがあります。

お亡くなりになってから、ネットなどで「猪木から勇気をもらった」という意味の文章をよく見かけます。実は僕もそういう体験をした1人かもしれません。

高校時代は山登りが好きだったのですが、山好きだからと言って、山へ行く前日はピクニックのようにはしゃぐわけではありません。むしろ、しんどそうだったり、難しかったり、あまり他にチャレンジしている人を見かけない山行は、前日はブルーです。

いや、行くって決めたのは自分なんです。でも同時に、翌日の困難を考えると「オレ大丈夫かなあ」と不安になるわけです。

その夜も、1人で54キロの長い縦走路を一日で歩き通す、という難しそうな山行を翌日に控えて、高校2年制の僕はややブルーになっていました。やりきれたら自信になる、でもあまりに長くて体力的に厳しい。やっぱりやめようかな、とも思いました。1人で行くんだし、誰にも計画は言っていないので、行かなくても誰にも何も言われないし。

で、居間に行くとテレビでプロレスをやっていました。確か、猪木対アンドレ・ザ・ジャイアントだったと思います。

アンドレ・ザ・ジャイアントって、めっちゃでかいんです。

そのアンドレに向かって、猪木が必死に立ち向かっていく。

当時の僕でさえ、プロレスはなかば八百長というか、仕組まれたゲームというのは知っていましたが、それでも猪木が気持ちで立ち向かう姿に引き込まれました。なんというか、闘う気持ちを感じました。

…勝敗は忘れましたが、その後自分の部屋に戻って「明日、オレも闘おう」と思いました。

アントニオ猪木といえば、あの試合のことがまっさきに思い浮かびます。

ではまた明日(たぶん)

あ、そうそう。翌日は、その長い縦走路をしっかり歩き通しました。途中で2人組の登山者に聞かれてコースを説明したら、「そんなところまで行けるわけがない」と笑われましたが、夕方にはゴールの大きな橋を渡りました。

あの充実感は、今でも忘れません。

ありがとう、猪木。

…そうやって、1人で挑戦する課題は、仕事でも趣味のランニングでも時々現れます。もちろん、やらないという選択肢もありますが、やれば確実に自信になる、今ならやれるギリギリの下地はできている、という時は、あの高校生の時の気持に近いものがあります。もちろん前日はちょっとブルーです。失敗する可能性も大きいわけですから。

でもそういったチャレンジを1つ成し遂げると、やはりうれしいし、自分に自信が持てますね。今日はフルマラソンよりも長い距離を走り切れました。よかったです。