ありがとうございます。でも、日本に限定した各論ではなく


著者名を見なかったら、買わなかったと思います。大林宣彦監督の「なぜ若者は老人に席を譲らなくなったのか」。タイトルだけ見たら、「最近の若者はあかん」という話のようですが、中身は逆で、大人があかん、という話です。というのは「各論ばかりで総論がなくなった」ということが理由だそうです。限定された範囲内で解決方法を探すから、全体として不都合になるということ。なるほど、と思います。実際面白くてまたこの人の人柄がよくわかります。もっと近くにいらしたら、いろいろ相談してしまいそうです。関係ないですが、平田オリザさんと親戚なのだそうです。惜しむらくは日本に限定しているところ。つまり日本という「各論」しかなくて、世界という「総論」も読みたかった。いつも思うのですが、国というのはほかの国があって初めて意味を持って存在する「相対的なもの」なので(地球、あるいは宇宙が始まる前に国があったというなら話は別ですが)、日本だけを憂うのではなく、世界まで憂えて提起したものを読みたかった。だって、日本だけ幸せになりゃいってもんじゃないですから。いや、あくまで書かれたものを読んでの贅沢です。

で、ラサール石井さん「笑いの現場」。こんな商売してちゃだめでしょう。M-1について書かれた部分は感想文の域を出ないし、最後の章は、昔自分で出した本「笑うとは何事だ!」(1994年)のコピペじゃないですか。僕、その本買いましたよ。もう14年。買う人なめてないか。