テーマかストーリーか

現在、依頼された脚本を構想中であることは、何度もここにここに書きましたが、今回は初めて自分でテーマらしいものを設定してしまい、危うくストーリーのおもしろさに目が行き届かなくところでした。
人によって違うでしょうが、私は「あいつの書いたものはテーマがしっかりしている」といわれるよりも、「あいつの書いたものはとにかく話が面白い」といわれる方が嬉しいです。映画でも小説でもそうですが、テーマありきだとつくった側の独り相撲になりがちです。
そういった意味では、高校時代は見栄を張って純文学等も読んでみた私ですが(いや、実際純文学への興味から大学も文学部にしたくらいなんですが)、今はそれらよりも山本周五郎とかのほうが尊敬します。話のつくりかた、最後にほろっとさせるオチなどすばらしいです。またこの正月休みは横溝正史を続けて読んでいるのですが、これがまた面白い。トリックの奇抜さ云々よりも、徐々に明らかになる、登場人物どうしの関係や隠された顔も驚きが多いですし、同じ事実を見たときでも先入観をいかに排除して論理的に考えるかという金田一耕助の推理も面白いです。
そう考えていると、なんだか脚本は「最後にほろっとさせる」「推理もの」になりそうで、そんな風にぐらぐら構想が揺れるところも、まだ私のこの脚本に対するスタンスが固まっていない証拠なのだろうと思います。
まだ時間がかかりそうですね。