演劇の脚本を書くにしろ何にしろ、まずはアイデアを積み上げるところから始まります。
今回、私がプロデューサーより依頼を受けたのは以下の条件でした。
- 人数は多く。(可能なら十数人)
- ホラー、あるいは怪談
- 「裏切り」をテーマとすること
- 設定はすすきの、もしくはその周辺
- 上演場所は廃校の小学校の体育館
- 締め切りは1月末
「何でもいいから書け」という場合とは違い、条件がいくつかある場合はそれを利用するのが、アイデアだしのセオリーです。そして大切なのは「内容に関するものではなく、物理的なものを利用すること」。この場合で言うと、人数、上演場所がそれにあたります。特に小学校の廃校、体育館というのは、怪談と相性が良さそうです。ありがちな発想としては、十数人のグループが夜の体育館に閉じ込められて…、というプロットが浮かびます。その他ちょっと考えればいくつか出てくることでしょう。ある意味、後から考えても大丈夫そうです。
難関は、怪談、裏切りという内容面の条件。今回は裏切りやホラーというネガティブなテーマもネックです。今私が興味あるストーリーとしてはスタティックなもの、あるいは少なくともらすとは開放的なものです。ホラーみたいにパニックになったり怖がって騒いだりするのは、その場面の台詞が陳腐になりがちなだけに、できれば書きたくない。そこでプロデューサーに「アクティブじゃなく、スタティックなものでもよいでしょうか」と伺いをたてました。それはOKをいただき、スタティックな怪談を目指すことにしました。
もう1つ問題があって、ポジティブなファンタジーはファンタジーとして成立するのですが、ホラーや怪談などの非現実的な話を、どうリアルに書けるかということです。私は幽霊を見る人がいるのは知っていますし、実際にその人はそのようなものを見たのだろうと思っています。でも私は見たことがない。また化けて出たくなるような恨みを、誰かの裏切りで得たこともない。
ある意味、裏切りとホラーは分けた方がよいかもしれませんね。
少なくともリアリティと私の書きやすさをつくるために、全部の恨みを最後にはポジティブな形に変換するストーリーが欲しい、と思いました。
書き出すときりがないですね、また後日。