感動して欲しいシーンで感動してもらう方法

  今まで脚本や物語を作るときに大事なこととして「自分の想像力を現実に再現する」ことだとお話ししました。
でも、想像したものを見せるだけで喜ばれるものなのか、という根本的な疑問があります。

よくあることですが、他人の見た夢の話ほどつまらないものはありません。「奇想天外だけど…」何も共感するところがない。
またデジタルで作成した絵は、見たこともないようなことが描けていても、なぜか感動が少ない。

また逆に、例えば「これすごい素敵だ」と思った写真や絵を他人に見せた時に、とんちんかんな感想や否定的な意見を言われたことは誰しもあるはずです。

自分が感じた感動を他人と共有するにはどうすればよいでしょう。
1.「可能なこと」と「したいこと」はちがうと認識する
脚本ではあまりないでしょうが、映画や絵画ではデジタルでいろんなことができるようになったので、あれもできるこれもできるといろいろいじりがちです。でも、それで実現できることはあなたが本当に見せたかったことでしょうか。技術は自分がやりたいことを実現するために用いるもので、自分のやりたいことを換算させるために使うものではありません。

2.文脈を丁寧につくる
自分が素敵だと思ったことを共有してもらうためには、感動までの道筋、つまり文脈を共有することが前提です。文脈とは、設定と流れのこととここでは解釈して下さい。
脚本でいえば、まず抱えている問題設定や描く登場人物の方向性など、地盤になる部分を理解してもらうこと。その次に共有して欲しい感動に向かってほかの人も同じ道をたどれるように、別の方向へ迷わないように、道筋をつくってあげること。つまり見せたいシーンまでの物語を、シーンそのものと同じくらい大切に書いてあげます。
そういう意味ではサービス精神旺盛な人は脚本や物語作りに向いています。最近言葉で言うと「ユーザーエクスペリエンス」でしょうか。べつに物語の道筋だけでなく、読む人や見る人をできるだけ早く物語に引き込むためには、笑わせたり脅かしたり、それ相応の仕掛けを考えてあげなければなりません。中盤でも終盤でも、それなりのサービスが必要があってこそ赤の他人である読者・観客を引きつけていけるのだと思います。

そう言う意味で、脚本家には本当にサービス精神は必要だと思います。

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