ありがとうございます。でも、日本に限定した各論ではなく


著者名を見なかったら、買わなかったと思います。大林宣彦監督の「なぜ若者は老人に席を譲らなくなったのか」。タイトルだけ見たら、「最近の若者はあかん」という話のようですが、中身は逆で、大人があかん、という話です。というのは「各論ばかりで総論がなくなった」ということが理由だそうです。限定された範囲内で解決方法を探すから、全体として不都合になるということ。なるほど、と思います。実際面白くてまたこの人の人柄がよくわかります。もっと近くにいらしたら、いろいろ相談してしまいそうです。関係ないですが、平田オリザさんと親戚なのだそうです。惜しむらくは日本に限定しているところ。つまり日本という「各論」しかなくて、世界という「総論」も読みたかった。いつも思うのですが、国というのはほかの国があって初めて意味を持って存在する「相対的なもの」なので(地球、あるいは宇宙が始まる前に国があったというなら話は別ですが)、日本だけを憂うのではなく、世界まで憂えて提起したものを読みたかった。だって、日本だけ幸せになりゃいってもんじゃないですから。いや、あくまで書かれたものを読んでの贅沢です。

で、ラサール石井さん「笑いの現場」。こんな商売してちゃだめでしょう。M-1について書かれた部分は感想文の域を出ないし、最後の章は、昔自分で出した本「笑うとは何事だ!」(1994年)のコピペじゃないですか。僕、その本買いましたよ。もう14年。買う人なめてないか。

「二週間の休暇」はおすすめです

私はフジモトマサルというイラストレーターさん(漫画家?)の作品が好きです。正直言うと、一番最初の「長めのいい部屋」が一番好きで、あとはちょっと(関西弁で言うところの)いちびりキャラが主人公だったり重要人物だったりして、最近の作品はそれほど興味を持てませんでした。
でも。
「二週間の休暇」は新境地を開いたというか、落ち着いたしみじみとする作品です。たぶんタイトルは「2年間の休暇」という古典からとっているんだろうと思いますが、中身的には関係ないようです。
ちょっと私自身、このところ仕事で疲れを覚えることが多くて(いや、泣き言ですね)、ちょうどはまったのかもしれません。「最近気分的に疲れたなあ」という方はぜひおすすめ。もちろんそうでない方も。淡々としたコマ運びとか、落ち着いた絵が好印象。効果線とか漫画にありがちな演出がないからでしょう。そういった意味では、漫画にジャンル分けしてよいものかという気もします。
なんにせよ、おすすめです。
鳥好き、ネコ好きな方にも。

590円損した—日経Associe

日経アソシエの最新号(リンク: 日経ビジネスAssocie Online.)の特集が「しないことリスト」というタイトルだったので、立ち読みしました。マネックス証券の松本社長の話が面白かったので、レジで590円払いました。
しかし…
あとは全然役にも何にも立たないし、面白いエピソードも特にない。仕事を選べる人の話ばかりだし、出てくるマトリックスとかもどこかで見たものばかりだし、出てくる作家さんは主旨と関係ない話をしている。というか、この雑誌いつも感じるのですが、編集部がテーマとがっぷり組んでいないような気がする。与えられたページ数に中身をそろえることを考えているというか、伝えたい気持ちがないというか。掲載しているグラフもスペース埋めが目的なようなものもある。
あー、損した。

北欧はそこまでやるか。週刊東洋経済

北欧と言えば、高い税金、高い福祉というイメージ。でもそれだけじゃなく、経済的な水準も高く、またそこで生活する人の満足度も高いようです。
何でだろう、と言うことを経済的な面から見せてくれたのが、東洋経済の特集。(リンク: 週刊東洋経済−東洋経済新報社.)
読むと、北欧の国々が「あるべき国の姿」をきちんと描いた上で政策を行っているのがわかります。なんだか他の国と言うよりも、ほかの星の話のようです。
目先の給油がどうしたとか政治献金がどうしたとか言う前に、政党は「俺、日本はこういう国にしたい」というアウトラインを提示して欲しいものです。で、その政策を選挙で争って国の姿を決めるのですが、もういっそ、土地とか生まれた場所に規定されず、自分の望む国に移籍自由にしてはどうでしょうか。無茶な話かもしれませんが。経済的成功を望む人はアメリカのような国に行く、負担も大きいけど安心な生活を望む人は北欧のような国の国籍を選ぶなど。農業をやっていると土地に縛られますが、税金は自分の選択する国に、とかは無理?
せめて道州制と言うからには、そこまで各地方の政策が変わるくらいのバラエティが欲しいものです。日本の中で北欧的な生活圏の場所とアメリカのような生活圏の場所があるとか。東京とかではすでに、区の優遇措置や条例などを選んで住む人もいるそうですから、あながち無理な話ではないでしょう。そうなると例えば北海道はどういう形が望ましいのか、四国はどうしたら魅力的な生活(あるいは人生)を提供できるのか、もう少し身近に考えられるような気がします。

星の王子様を初めて読んだ

サン・テグジュペリの「星の王子様」を初めて読みました。断片的にどんな話かは聞きかじっていたのですが、実際読んでみると意外に面白いじゃないですか。

特に最初の方。象を飲んだボア(池澤夏樹訳、ほかでは「ウワバミ」が多い)の絵とか、羊の絵とか、小惑星にバラが咲いている絵とか、火山のすす払いとか、3本のバオバブに占領された天体の絵とか。そんな発想ありか!みたいなものがいっぱい。
でも、王子様が星を出発していろんな「大人」に会いに行く段はちょっとストレオタイプか。でもしょうがいないか。最後に、何で死ぬねん、ほんならここまでどうやって来てん!というつっこみを入れたくなるのも、私が大人だからでしょうか。

温故知新ー横溝正史

横溝正史といえば「獄門島」「悪魔の手毬歌」などが有名ですが、トリックや重厚さはともかく、物語の構成としては角川文庫「本陣殺人事件」所収の「黒猫館」が最高です。ま、今読んだばかりなのでそう思うのかもしれませんが。
作者と金田一耕助との往復書簡の体裁をとりつつ、冒頭やクライマックスなど、何度もトリックの分類について触れられます。正直言って、「探偵小説」マニアのうんちくの披露と思っていたらさにあらず。これは誰が犯人かを捜す話という形をとりながら、実は物語の形は何かを探す話。
短編なのですぐ読めるのも嬉しい。おすすめです。

「カラースケッチも3分」は30分で

本屋さんで「スケッチの方法」、なんて言うタイトルをみるとすぐ手に取ってしまいます。それでこの「カラースケッチも3分」も買ってしまいました。
半分以上が作例なので、読み終わるのに30分もあれば十分。むしろ文章より作例とその解説を読んでいた方がよくわかります。
「あ、全部描き込まなくていいんだ」というのがわかるだけでも嬉しい。でも文章まで読むと「前もって練習を」とか書かれているので、かえって窮屈な気持ちになるかもしれないです。