いずこへ

 バスが札幌駅北口に停車すると、にぎやかなおばさん達のグループが乗車してきました。おばさん達の話し声は大声なのによく聞き取れなかったので、きっと中国人観光客の人たちだろうと、私は思いました。中国人観光客はこのところとても多かったし、実際、大通りの雪祭りの時期にはとてもたくさんの中国人の人がいたからです。そしてバスはちょうどサッポロビール園の前を通る。あそこは観光スポットだし、じっさい、私もそこでおりる予定でした。でもおばさん達の言葉はよく聞く中国語とは少しちがうようで、また韓国語でもなさそうでした。それは東洋の言葉ではなく、西洋のそれのようで、そう、ロシア語なのでした。実際、グループの中に1人だけヨーロッパの顔つきをしたおじさんがいました。

 バスは発車し、おばさん達は窓の外のサクラや会社の看板などを見て指さしてなにやら楽しそうに話をしていました。

 やがてバスは「サッポロビール園前」に到着。私はバスを降りました。が、おばさん達の一行は誰もおりませんでした。

 彼女らはいったいどこに行ったのか、私にはわかりません。その先には観光するところはなく、あるのはバスの営業所くらい。では何の目的で彼女らは札幌にやってきたのでしょう。いま、あのロシア人の一行は、どこにいるのでしょうか。