さあ、2つに折りましょうか

昨日までに書いたように、物語はいくつかの軸が互いに関係し合うことで成立します。
でもどう考えてもそれらの関係がうまくいかない時があります。
そんなときにはやはり基本に戻って考えるべきです。が、その基本とはなんでしょうか。
いわゆる4コマ漫画でいう「起承転結」? 能でいう「序破急」?
でもそれってすごく頭で考えた理屈であり、すでにある物語を分析したものでしかありません。実際に物語を考える時には、そんな風には組み立てられないものです。なぜなら、強い風の合間合間に風景が見えるように、あなたの目には必要なシーンがいくつか見えているからです。
そんなときには、思い切って「ラストシーンを物語の中間に持ってくる」ことです。
ラストシーンはおそらくあなたのとっておきの風景に違いありません。しかしそれをあえて中間に持ってきます。
あなたはそこから新しい物語を、つまりラストシーンのその後、をつくらざるをえません。
どうです、新しいパラダイムが見えてきませんか?
大切なことは「これが大事」と思っていたものを、そうでなくする思い切りです。それによってあなた自身が思いもよらなかった物語を作ることができます。そのことがもっとも大事です。あなたがすでにわかっている物語なら、あなたの新しい可能性は開拓できません。脚本化は完成するまで誰のだめ出しも受けませんから、自分の可能性をつくるには、自分で今までの価値観を投げ捨てる思い切りが必要なのです。
当然、ラストシーンを中間に持ってくると、それまでに予定していたシーンを短くしたり、あるいは削除することが必要になります。それによっても、当初想定していたのと異なる物語を作るきっかけが生まれます。
さあ、思い切ってラストシーンを中間に。
誰もが当たり前と思っていたことを覆すくらいの転換が必要です。例えば痴呆症の夫と彼を介護する妻がいたとしましょう。半分くらいのところで、実は痴呆症は妻で、夫は自分が痴呆のふりをすることで妻を介護していた、と判明させてはどうでしょう。すると、そこから先の展開がすごく楽しみになりますよね。