看板軸とサブ軸

 「半分に折る」話をする前に、1つのドラマで語られる物語は1つではないという話をしましょう。
 ドラマの中にはまず観客の目に入る看板ともいうべき物語があります。例えば水戸黄門なら、「悪代官を懲らしめる」など、主軸となるストーリーです。これを「看板軸」と名前を付けておきましょう。
 もちろん「悪代官を懲らしめる」という会のみと黄門に含まれるストーリーはこれだけではありません。それに絡む町娘と手代の恋物語、父親との葛藤、腐っていた役人が更正する、など複数の軸があります。これらを「サブ軸」といっておきましょう。
 これらの軸の中に、脚本家がこれがメインと考えている軸があります。たいてい主役が背負う軸がメイン軸になります。水戸黄門の場合は、懲らしめるのが黄門様なので看板軸がそのまま主役軸ですが、看板軸は主役軸を誘導する役割になる場合が多いのです。例えば「七人の侍」なら、看板軸は「悪い浪人から村を守る」ことですが、主役軸は「農民という生き方の勝利」だったりします。
 長くなるので、いったんここで。明日は「軸は関係でつくる」話です。