軸どうしが関係して物語になる

 昨日は物語には「看板軸」と「サブ軸」があり、それらの中に「主役軸」があるというお話をしました。

 さて、このような軸は、登場人物1人では作れません。必ず複数の関係で初めて成立します。恋物語や父親との葛藤なら、好きな相手や父親という対象があることはおわかりでしょうが、例えば「消防士になる」という場合も必ず他人とのやりとりの中でそれを実現させます。当然ですが、登場人物がほかの人物と関係なく消防士になる勉強をして試験に受かって、消防士姿を見せても、それは観客の興味を引きません。なりたいと思うきっかけや、挫折のきっかけ、あるいは復活のきっかけは必ずほかの人物からもたらせなければ、見ている方はなんの共感も持てないでしょう。

 またきっかけをもたらす人物も何らかの軸を抱えているとよい物語になります。軸どうしが互いに関係し合って全体の物語が形成されるのが一番望ましい形です。さらに看板軸がそれらの軸の関係全てに影響を与えていると、よい物語になります。観客は看板を見るだけで、全ての話に自動的に関与できるわけです。また看板軸の完結が全ての軸に影響を及ぼすことで、相前後して全ての軸が完結するといっそうよい物語になります。もちろんあるサブ軸の完結が看板軸の完結に大きく関係してもよいのです。

明日は「軸のスタートは早く見せろ」というお話。